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外資を辞めた人はどこへ行くのか

外資系企業からイメージするものといえば、高給、実力主義、グローバルな活躍、多言語コミュニケーションといったところでしょうか。かつての投資銀行=億プレーヤーなんて幻想が無くなった今も、1社当たり1000人以上の新卒が応募してくると聞きます。

新卒で実際に私が外資系企業を受けたとき、どの企業でも社風の違いこそあれ全員がプロフェッショナルとして自分の仕事に責任と価値を感じる姿に感銘を受けました。
日系企業で働く20代の社員は「上司の○○さんのお陰でなんとかこのプロジェクトを終わらせることができ」とか「その件は……ちょっと判らないので」と上司に回す姿を見て少しげんなりしましたし、対して外資系企業の20代社員が「マネージャーとして部下を持った」とか「プロジェクトを自ら引き受けて引っ張った」なんて話を聞くとワクワクしました。

しかし、下手すると数名しか採用されない外資系企業で10年残る社員はわずか1割だったりします。そこまで厳選して採用したにも関わらず、離職した人は何をしているのでしょうか。就活の場では活躍している社員しか見られません。今回は「辞めた人はどこへいくのか」について書いてみようと思います。


1.同業他社へ移る

一番多いパターンです。「辞めた人」が見えづらいのもこのためだったりします。採用担当として就活生の前で話している人が、実は6社目なんてこともあります。外資では辞めた経歴がキズとみなされることは稀ですし、キャリアアップのためならむしろ"外"で経験を積んで新卒の会社に戻ることを推奨する企業もあります。どうしても1社では扱うプロジェクトの種類が似通ってきてしまうので、外に出るという選択肢は大いにありえます。

あとはもっとドロドロしてますが、派閥争いによるものもあります。たとえばトップが交代して財務出身の人間になったので財務畑以外の部下は社内で権力を失う前に会社を離脱するといったケースです。日系企業と違ってある派閥がトップに立つと、派閥以外の人間は実際にクビになってしまうのでさっさと逃げたほうが経歴がクリーンに保たれます。

人間関係がいやになって同業他社へ行くこともあります。実際に聞いた事例ですと、社内不倫がばれて会社にいづらくなった、営業と喧嘩した結果営業側のボイコットで仕事が回らなくなった、とかです。

社内不倫は学生から見ると「そんな非合理的なことをなぜするのか」と思われるかもしれませんが"社内の関係なので家庭にばれない" "最悪会社を辞めても家庭は辞めないで済む"極めて合理的な浮気の形でもあります。なお、社内不倫は存在する会社にはいっぱいあり、無い会社には全く無いという両極端な傾向が見られるようです。


2.鬱になってキャリアダウンする

最初の「同業他社へ移る」の次くらいに多いです。外資系企業は「厳しい」と言われますが、具体的に何が厳しいのでしょうか。外資系企業(の一部)で見聞きした話では、以下の3点に集約されます。

・1日2時間睡眠×2週間 のような勤務体系がたまにある
・上司の命令が絶対になりやすく、媚びないとクビ
・1年目から高レベルのアウトプットを要求される

頭脳労働を寝ないでできるかどうかは、通常の体力とは別に大事な要素となります。イメージとしては卒論/修論を常に書いているようなものでしょうか。文献を調べ、仮説を立てて実証し、それを企画に持っていく。こういった知的労働を「寝ないで」できるかどうかとなったときに、つぶれる人は一定数出てきます。

次の上司の権力ですが、企業ごとに直属の上司にどれだけ人事権があるかで運命が分かれてきます。直属の上司が昇進やクビに大きく関わる会社だと、いくら結果主義でも上司がその結果を認めなければクビです。外資では、自分の成果をいかに人にアピールして、有能と認めさせるかも実力のうち。それを後ろからサポートしてくれる上司がいなくては、下手すると上司が始めたプランなのに「僕はこんな提案はした覚えが無い」と後ろから刺されたり、手柄を上司に取られます。

上司への媚び方は運に大きく左右されます。運がいいと「好きにやってみなはれ、責任は僕が取るから」という上司に出会えます。運が悪いケースだと、上司の尿を飲まされたとか、殴られたといった話も聞いています(私の現職・前職の話ではありません)日系企業以上に、上司運で人生が変わってくるのが特徴です。

最後の「1年目から高レベルのアウトプットを要求される」というのが一番外部からのイメージに近いかなと思います。通常、日系企業であれば名刺の渡し方や電話の取り方などから訓練してくれますが、外資ではとりあえずやってみて、それを叩いて良くする文化が見られます。最初に提出した書類なんてそのままゴミ箱に行きますが、そこから叩かれても叩かれてもへこたれず、最終的にOKがもらえるまで粘れるメンタルが必須となります。

1つ1つはそこまで厳しくはないのですが「2時間しか寝てないのに、上司に出した書類が丸ごとボツになり、その後宴会で上司に殴られた」などいやなことが重なると鬱になる人も出るでしょう。鬱になる人は圧倒的に中途が多いです。プロパー(新卒)の人はその労働環境が当たり前だと思うので適応しやすいのですが、中途で入ると前職とのギャップに苦しむようです。

キャリアダウンできる人はそこそこ幸せに暮らしているパターンが多いです。「35歳までに部長にはなれないけど、18時に退社できる」といったホワイト企業に行ったり、専業主婦/主夫になったりしています。鬱が本当に重くなってしまった人は、消息が絶たれます。が、そこまでの事例はあまり聞きません。


3.他業種へ移る

転職でもあまり見られないパターンです。外資系企業は入社時から職務が細かく分かれて採用されるので、同じ業務・業界で転職したほうが年収も上がりやすいし楽です。逆に他業種へ行くときは年収ダウンを覚悟してでも譲れないものがあるケースが多いです。たとえばもともと日本の教育を変えたいがためにコンサルで修行していたとか、外銀のハードな職務は絶対に避けたいと思いメーカーへ行くといった転職になります。

中途で外資へきた人の場合、新卒で日系→外資→元の業界へ戻る、というパターンもあります。この場合は新卒で経験があるので、日系でも英語力などを評価されて戻りやすいようです。

自分の属する業界がどの企業でも激務であったり、転勤が多かったりする場合も他業種へ移ります。30代までは眠らず働けてもだんだん体が辛くなってきた、結婚したい時期に海外へ飛ばされるのはいやだといった理由です。特に女性は結婚適齢期に海外へ行ってしまうと日本人との結婚が難しくなるので、日本支社から移動しなくて済む外資へ転職したりします。

稀に起業する人がいます。起業も2種類あります。コンサルが独立してコンサルになったり「元マッキンゼーの××」みたいに前職の衣を借るパターンと、全く新しい事業を始めるパターンです。残念ながら前者のほうが成功しやすいです。後者で成功した人は「親がすごいお金持ちで資金源に困らない」といった理由があったりします。育ちより氏です


以上が、外資を辞めた人の主な行き先になります。入社前は外資の人は延々外資、日系の人はずっと日系にいるものだと思っていましたが意外と自由に転職されていますし、業種のくくりもありませんでした。ただし日系企業は転職者に若さを求めるので、35歳以上になると急に難しくなるようです。特に外資で35歳だと課長、部長クラスは当たり前にいるので、日系でも受け皿がないのでしょう。


私も外資から転職したため、学生さんによく「なぜあんなすばらしい会社を辞めて今こんな会社(失礼なw)にいるのですか」と言われ「もう少し眠りたかった、結婚したかった」と言うとがっかりされます。そこでがっかりされる方は、ぜひ新卒で修行できるような外資を目指してほしいとも思います。外資に行って仮に後悔しても、いくらでも道は変えられるのですから。


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【2014/10/31 12:19】 | 外資 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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