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殺意まみれの趣味:美食のススメ

ご飯を人並み以上に好きだと気づいたのは8歳頃。当時、実家に料理ができる家族はいなかったので、外食かお手伝いさんに作ってもらっていた。その日もいつもどおり外食で、といっても普通の定食屋に行ったのだが、そこのマグロが美味しくなかったんである。一口で全部残した。

当時私は刺身といえばマグロ、マグロといえば刺身くらいのマグロ好きで、親も好き嫌いでマグロを残しているのではないことに気づき露骨にいやそうな顔をした。「こいつ、食費がかかるガキになるなぁ」と。

さて、それから10年以上たち、自分で食事を選ぶことができる大学生になった。その前に食事の墓場として名高いイギリスに住んでいたこともあって、最初はチェーン焼肉でも感謝の祈りをささげるくらいのバカ舌。それが近所のラーメンに始まり、あら大学前のイタリアンって味がまともなのね、あぁ自由が丘に素敵なオムライスが食べられる店があるのね、と地に足の着いた金額で食事を楽しんでいた。

転機は大学3年の頃。
Le Creation de Narisawaとの出会い。

当時私は就職活動でOB訪問を100件ほどしていて、さらにそのOBも美味しくいただくというビッチっぷりを発揮していた。金が無かったのでご飯代を浮かせていた側面も大きい。OBのうちの一人にとてつもないグルメがいて、ランチでNARISAWAを選んでくれた。私は絶望的に記憶力が悪いのだが、当時のことは目にこびついて離れない。酵母から目の前で焼かれるパン、炭に包まれてやさしく蕩けるような牡蠣、高野山から採ってきた枯葉のかぐわしさに包まれるアイスクリーム。OBのことは何も覚えていないが、味なら今でも思い出せる。

それから、食べるために生きることになった。

美食家の道は険しい。まず金がかかる。外食が必然的に増えてしまうので、学生時代から月に15万ざらに飛んでいった。酒が飲めないと話にならないタイプの食事もあるので、下戸には正直険しい道だ。

次に美味しい店は少ない。食べログは「夜景がきれい」「出てくるのが早い」さらには「デートだったからドキドキして味は覚えてませんが最高のお店でした」なんていうおおよそ味とは全く関係ない要素で点数が変わってしまうので、ほぼアテにならない。

頼りになるのは同じ美食家の友人しかいないが、学生でそれだけ食事に金をかける狂人はそういない。趣味は食事だとアピールしながら、それで話しかけてくる相手と少しずつ友人になる。友人を見定めるのも真剣勝負だ。地元が漁業地だから和食だけ強い人もいれば、素材が美味しければソースを気にしない人、ワインの味はとかく鋭敏なのにご飯の舌はメタクソ……と人には強み・弱みがある。美食家になったエピソード、好きな食材などを恐る恐る聞いていく。好きな店は聞かない。なぜなら、美味しい店というのは美食家にとってトップ・シークレットだから。

そうして美食家を見つけると初めてご飯にありつけるわけだが、学生時代は特に美食の友が40代以上のバブル経験世代に集中してしまって、店員からも"既婚者と不倫している大学生"と勘違いされてL字型の席に案内されたり。ふざけるな肘が当たって食事に集中できないじゃないか!

逆に同級生~後輩を美食家にしてしまおうと、仲良くなった異性を美味しいお店へ招待したこともある。
今度は「女性に奢りたいのに高い店へ連れて行かれた」「どうせ何食べてもファミチキと変わらない」と、もう殺意を覚えんばかりの台詞が聞こえる。仮に美味しいと思っていただけたとしても、今度はそれをfacebook/twitterでシェアされてしまう。あぁ、これ以上混雑したら二度と入店できなくなってしまうのに。

こうして「奢ってもいいから美味しい店へ行こう、代わりにシェアしないでね」の立場を確立した私は、いつしかフェミニストの扱いを受けることになった。理不尽すぎる。。。

社会人になってからは接待で鍛えられたのか、徐々に美食家の同年代が増えてきてご飯に誘いやすくなった。相手も私がきれいな夜景の見える六本木の中華☆とかでなく、至極の焼き鳥などを求める人だと心得てくれるのが嬉しい。また、勤務地に合わせて居住地が分散した結果、各地域のグルメを交換できるようになった。今私が人にオススメできるくらい美味しい店で、一番遠いものはドイツ・ベルリンにある。経済的な余裕も少しできたので、食事のために空を飛ぶこともできるようになった。死ぬまでに食べなければいけない店が世界中にある。


まずい飯を排し、美味しい飯を探す。


たったこれだけのために、時間もお金も山ほどつぎ込んできた。そしてこれからはいつまでも食べるために運動も再開しなくてはならない。血糖値なんて気にしないでいるためには、体のメンテが欠かせない。

酒が飲めなくなる日のために、今からノンアルコールドリンクの妙も知らねばなるまい。いつか私が反抗期になって親を法的に訴えようとしたときに、父が私をなだめるために使った店のような場所も、同じく子供に伝えねばなるまい。そのとき今尊敬するシェフは現役だろうか、同じ場所にいてくれるだろうか。こんなに食事に対して排他的な私に、一緒に食べてくれる友人はいてくれるだろうか。

今回も大好きだったジビエの名店が閉店することになり、思いのたけをブログに書きたくなった。美食なんて、頭のおかしい趣味だと思う。けれど、美味しい食事に出会えて、本当に良かった。


※ NARISAWAは現在、非常に注目度が高まった結果、価格が上昇しているのとシェフの成長が停滞しているためオススメできる店舗ではありません。ランチであれば悪くない。


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【2014/10/30 12:09】 | メンタルヘルス | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
私も大好きだったイタリア料理店が閉店してしまい、大ショックです。今まで行った中ではアルゼンチンの大学の学食のチーズとパン、ハムが最高に美味しく、さすが酪農の国と思い知りました。なんの変哲もない、100円程度の全粒粉パン、チーズ、ハムですら最高のクオリティ。そしてジェラート屋さんも最高!ビールのアイスクリームが大人なビター味で、その他キルシュワッサーetc美味なお酒のアイスクリームが充実しており、甘ったるいジェラートに辟易した者にとって神でした。
【2014/11/01 23:37】 URL | ライム #-[ 編集] | page top↑
ドイツ ベルリン
この投稿を見て、あまりにも共感してしまいました。ドイツ、ベルリンのお店教えてください。
【2015/04/22 11:54】 URL | Nori #-[ 編集] | page top↑
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